オートバイの音について
オートバイは音に乗る
ぼくがまだオートバイに興味が無かった頃、「オートバイは音に乗るんだ」と父親が言っていたのをいまでも鮮明に思い出す。

通勤でホンダのベンリーの125に少し乗っていたぐらいで、特にオートバイ好きでもない父だからその台詞を1、2回しか聞いたことがなかった。そしてその頃のぼくにとっては音どころか、オートバイ自体に興味が無かったから、まったく意味が分からなかった。

だからこそ、それ故に常にアタマのどこかにあったのだろう、今ではオートバイの音、排気音というものにとても敏感になっている。

まぁ、五月蠅過ぎるのは困るけど音に乗るんだから、重要なのは音量ではなく音質だ!って乗れる音を求めていままでにXS650SPのマフラーを何本変えたんだろー。(斉藤純氏にあきられるぐらい)


奇跡の音
今までに聞いたオートバイの排気音でいい音だなぁと思ったのは、やはり親友の乗っていたカワサキの650RSーW3。その青い650ccのW3はエキパイとマフラーがW1のものに変えられていて本当に凄い、いや素晴らしい音がした。

はじき出されたコクのある重低音の塊にキャブトンの特徴であるピチュピチュ音がキレを作り出し、それにエアクリーナーからの吸気音がからみつく!しかもこの三つの音のリズムとそれぞれの音量と音圧、音程までもが絶妙だ。つまり、あれだけの音量なのに気持ちの落ち着く音なのだ。
 
この芸術的ともいえるWのあの排気音を聞くたびに、ある種の嬉しさを覚えると同時に「ハラニコタエル」という言葉をいつも思い出す。だから、Wと一緒に走るときはなるべく後ろにいるようにして、「ハラニコタエル」心地よさを楽しんでいた。

家の近くの信号待ちのアイドリングから、なじみのない地方都市の国道での加速、そして、フェリーの乗船時間を気にしながら走った、東北自動車道の巡航まで、Wはカッコよく裏切った。いつだって重低音で丸みのある歯切れのいい音だ。この歯切れがあるのに、重低音で丸みのある音というのが本当に難しい。
 
ぼくのヤマハの650だってわるくはない、なかなかの排気音をしている。今まで乗れる音を求めて散々、散財したのだ。そして、やっと答えを見つけた。重要なのはマフラーでもなければエキゾーストパイプでもない。音質を決めるのは、やはりエンジン。

直立2気筒の624ccのエンジンは、あの素晴らしいヴァイオリンやトランペットのようにぼくをうならせる音を奏でる。うなってしまうのはどこかの馬の骨だけではない。自分の理想に向け着実に歩み、正直で芯が強く、臨機応変さと客観性があり、何事にもフェアな友人知人もWの音質に対しうなっている。付け加えるなら、彼らは世界平和も願っているハズだ。

誤解をたいへん恐れて言うならば、Wの旧い650ccの音を単純にウルサイ、と感じる人を信用することができない。Wとはいえオートバイの排気音に対して否定的な人を信用できない自分も怪しいが、信用できないものはできない。Wの排気音にはあの楽器達と同じように尊さがある。

人類が途方もない時間と空間を経て、ひとつの到達点に達したW650の奇跡的な排気音に太刀打ちできないのは、僕のヤマハだけではない。同じ土俵に上がれるのは、個人的な意見では、ホンダのCB750k0ぐらいか。

豪快かつ繊細、そういう意味ではHarleyDavidsonでもかなわないと思う。HDも本当に余裕のある素晴らしい排気音だ。HDの排気音が開放的ならWは解放的な音だろう。分かりにくいので例えて言うなら、ちあきなおみと美空ひばりの違いではないか・ん・反・対かナンバーガールとレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン・・・余計分からなくなったからここでやめるぞ。ここでやめて良いですね。
でもホント、Wの排気音を聞かなきゃ話にならんのだ。
(爆音侍好き)
































  










































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